秋入学の専門学校に通うメリットとデメリットについて

まだまだ数こそ少ないですが、専門学校の中には秋入学を取り入れる所が増えつつあります。秋入学とは従来の入学の時期である4月を、9月に変更する制度です。実は国際的にも4月入学は少数派であり、9月入学が標準です。

このように秋入学はグローバル化の流れに沿ったものではありますが、メリットがある一方でデメリットも存在します。ここでは秋入学のメリットとデメリットを詳しく解説します。

夏休みが学年末になるため学習の中断が無い

学生側にとって嬉しいのが、秋入学によって夏休みが学年の終わりに来ることです。今までは学年中のちょうど中頃に夏休みが来ていたので、学習の長期中断がありました。しかし秋入学ならば前期で学んだことが夏休みを挟んでしまうことで、後期が始まったときにはだいぶ忘れてしまったということも起きにくくなります。

今まではそういう事を防ぐために、夏休みのような長期休暇中には教員が課題を多く出す事も当たり前のように行われていました。このように秋入学は学生側と教員の両方の学習と指導の負担が減らせます。また学生にとっては学年が終わってからの夏休みとなるため、長期休暇の間は思いっきり羽を伸ばせるのも良い点です。

学校のこともしばらく忘れて旅行や趣味に埋没できるのも秋入学のメリットと言えるでしょう。

交換留学など世界の学校との交流が進む

冒頭にも述べたように世界中を見回しても秋入学の学校の方が多く、世界のおよそ7割の学校が採用していると言われています。このような世界の流れに合わせることのメリットとして、交換留学やホームステイなどの学校間の交流がやりやすくなる点も見逃せません。

今までは専門学校も4月入学のために、海外の学生と研究で歩調を合わせることに障壁がありました。しかし国際的な9月入学に合わせてしまえば、人の行き来がやりやすくなるため学生間の交流だけでなく、教員や研究者との交流も捗るようになり、より良い教育環境を育めます。

気候の良い4月に行事を集中できる

今までは4月は入学式ということもあって、学校への慣れが必要で大きな行事を他に催すことは困難でした。専門学校は2年制の所も多く、2年目は就職活動に力を入れざるを得ません。そうすると入学初年度の後半に行事が詰め込まれるといった事がありがちで、学生への負担になっていました。

しかし、秋入学になれば気候の良い4月が学年の中頃に回ってくるため、行事を行いやすくなるメリットがあります。例えば、専門学校の学園祭は今までは秋に行われることが多かったですが、これも春の桜が咲く頃に開催できるようになります。

受験勉強がやりやすくなる

4月入学では、専門学校入試が行われる時期は早いところで11月頃、遅い所では2月から3月に行われます。このような寒い時期に入試があると、それだけ学生にとっても受験勉強が大変です。また、インフルエンザや風邪といった病気にも気をつけなければいけませんし、入試当日に大雪が降ったといったニュースも毎年のように聞かれます。

学生への受験勉強の負担を減らす、という観点からも9月入学は好ましいと言えます。

企業の新卒採用の多様化が望める

企業にとっても専門学校の秋入学が広まれば、人材採用の点で大きなメリットがあります。今までは新卒採用が3月の卒業に合わせた一本的なものでした。しかし、秋入学が広まれば新卒採用も多様化が期待できます。近年は好景気と人手不足の影響もあって第二新卒を積極的に採用するなど、企業の人材確保はますます困難になりつつあります。

1年に1度の新卒採用の機会が2回の増えることは、ほとんどの企業にとって喜ばしいことです。翻ってそれは学生への就職の機会の増加というメリットに繋がります。

ギャップタームの問題

ここまでは秋入学の専門学校に通うメリットを見てきましたが、もちろんデメリットもあります。その1つが、就職までに空白期間ができてしまうことです。先ほど企業にとっても新卒採用の幅が広がるというメリットを指摘しましたが、現実にはまだまだ多くの企業が新卒は春のみの採用を行っています。

そのため、秋入学で専門学校を卒業した場合、入社までの空白期間ができてしまいます。この空白期間はギャップタームと呼ばれ、その期間を有意義なことに費やせないと企業だけでなく、学生にとっても望ましくありません。

ギャップタームの過ごし方については様々な意見が出されており、海外の大学などを見習って短期留学やインターンシップを推し進めようとする意見や、ボラティア活動を推奨する声もあります。

しかし、制度として秋入学の定着率がまだ国内では低いため官民どちらの後押しも乏しく、現状は学生の自主努力に委ねられています。

春入学の制度を変えるのが難しい

実は、日本でも昔は秋入学制度が採用されていました。これは学校教育制度を欧米から輸入したためで、その流れで当時から世界的に主流であった秋入学を採用していたのです。しかし、国の会計年度に合わせるなどの都合のために、1921年より春入学が採用されて現在に至っています。

このように、春入学は社会の必要性から導入されたこともあり、その制度を変えるには専門学校の努力だけでは限界があります。地方自治体から民間の企業に至るまで4月を新年度とする制度が定着している以上、専門学校や大学などが秋入学の採用を増やす場合は、社会もそれに伴って変革を行う必要があります。

「東京大学」が2015年までに全面秋入学を決めつつも当面見送りとなった理由の1つも、教員の制度変更への反発の多さがあったと言われています。

このように秋入学を導入するにあたって、既存の制度を変更する上での困難さが伴うこともデメリットです。現状の制度が変革についていけない以上、秋入学の学生にとっては様々な面で不便や不都合を強いられる可能性が考えられます。

保護者も秋入学導入を心配する声が多い

専門学校の秋入学導入の是非を巡っては学生の保護者の方も不安の声を挙げています。保護者の方が心配するデメリットはまず1つ目に、専門学校卒業後から企業に入社するまでの間の数ヶ月間、子供を養う負担が増えることです。

だからと言って、子供にアルバイトなどをさせたくないと考える保護者もおり、ギャップターム中の過ごし方について懸念が強くなっています。2つ目の保護者が考えるデメリットとして、春入学の学生との会社での待遇面などでのギャップを心配する声があります。

国内の現状を考えると、春入学と秋入学を両立させるのが現実的です。しかし、それだと半年遅れの卒業となる秋入学の人たちが会社での待遇や、各種試験などにおいて不利を被るのではないかという懸念です。他にも、特定の専門学校だけが秋入学を実施しても、周りも実施しない限り効果が薄いのではないかという、秋入学の効果そのものを疑問視する声も少数ですが聞かれます。

参考資料(大原学園